0.プロローグ
太陽が眩しい初夏、半袖に身を包んだ少年がキョロキョロしながら走っていた。
「五日町」(いつか)と書かれた名札を右胸につけ、小さい体にはいささか大きすぎるリュックを背負っている。
しばらくして交差点の信号待ちの群れを見て、少年は嬉しそうに目を見開く。
「あると!」
「司か、おはよう」
群れの中から色の白い眼鏡をかけた少年が振り向いた。
彼の名札には「高山」とかかれており、背は高くスポーティーなショルダーバックを右肩にかけていた。
信号が青になり、五日町司は高山あるとと並ぶと学校へ歩き出した。
晴れ渡る空、白い雲。何の変哲もない日が今日も始まるはずだったのに。
2人はまだ知らない、どんなにいい人でも巨大な力を得てしまうと壊れ始める事を。
そして、親切心が凶を引き当てる事を。
物語は近道をしようと人混みから離れてしまった所からはじまる。
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